担当教員 : 太田 和夫・岩本 貢 (II類・情報学専攻) {kazuo.ohta, mitsugu}_at_ uec.ac.jp 開講日時 ・場所: [奇数 番号]火曜日 第1時限 (9:00〜10:30) @東5-241 [偶数 番号]金曜日 第1時限 (9:00〜10:30) @新C-403
科学技術をよりよく理解するために必要となる,離散的な物事を取り扱うための数学の基礎について講義します. この講義を通して,離散的な物事の構造を数学的に把握し,数学の言葉で表現し, 離散的な事象について数学的に思考するための基礎能力を身につけるようにしてください.
- 1. 集合と写像
- 集合と写像は,あらゆる理論的な学問,および理論を基盤とする応用的な学問を理解する上で必要不可欠な概念です. 講義では以下の事項を解説します.
(a) 集合 : 集合の外延的記法, 内包的記法, 集合演算 (和集合,積集合,差集合,補集合),べき集合,集合演算に関する基本法則),直積集合. (b) 写像 : 写像の定義,順像,逆像,単射,全射,全単射. 逆写像,写像の合成.
- 2. 論理
- 論理的な思考能力・表現能力および論証能力は,あらゆる学問を理解し様々な場面に適用していくための基礎的な素養です. これらの能力の向上を目的として次の事項を講義します.
(a) 命題論理 : 論理演算 (論理和, 論理積, 否定, 含意). 真理値表. 命題論理式. 恒真式, 論理代数の基本法則. (b) 述語論理 : 限定記号 (全称記号, 存在記号). 述語 (c) 証明論 : 三段論法. 背理法. 対偶.
- 3. 帰納的(再帰的)定義と数学的帰納法
- さまざまな概念や現象を帰納的(再帰的)に把握する方法とその有効性について述べる.
- 4. 論理を使ったクイズ
- この講義で身に付けた概念や思考能力を利用して, 論理的に込み入ったパズルを綺麗に解きほぐすことに挑戦します.
回 | 火曜 | 金曜 | 内容 (それぞれの講義で理解してもらいたい事項) | 備考 |
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第1回 | 4/9 | 4/12 | ガイダンス, 集合(1):集合の表記法,定義と定理 | |
第2回 | 4/16 | 4/19 | 集合(2):べき集合, 集合演算,ド・モルガンの法則 | |
第3回 | 4/23 | 4/26 | 写像(1):写像,定義域と値域,順像と逆像,単射,全射 | |
4/30 | 5/3 | 休講 | ||
第4回 | 5/7 | 5/10 | 写像(2):順像と逆像の計算,べき集合の要素数,単射の個数,逆写像,鳩の巣原理 | |
第5回 | 5/14 | 5/17 | 集合と写像の総合問題 | |
第6回 | 5/21 | 5/24 | 写像の合成,合成写像の性質 | |
第7回 | 5/28 | 5/31 | 中間試験 | |
第8回 | 6/4 | 6/7 | 論理(1):命題,論理結合子,論理演算と真理値表 | |
第9回 | 6/11 | 6/14 | 論理(2):論法(三段論法,背理法,対偶論法) | |
第10回 | 6/18 | 6/21 | 論理(3):論法の妥当性(つづき),述語と限定記号 | |
第11回 | 6/25 | 6/28 | 論理(4):論法の妥当性(つづき),誤った論法を見破る方法 | 補足資料 |
第12回 | 7/2 | 7/5 | 数学的帰納法(1):原理と基本定理,いくつかの変形 | |
第13回 | 7/9 | 7/12 | 数学的帰納法(2):演習問題 | |
第14回 | 7/16 | 7/19 | 論理を使ったクイズ(1) | 講義資料 |
第15回 | 7/23 | 7/26 | 論理を使ったクイズ(2) | 補足資料 |
スケジュールは変更になることがあるので, 授業内のアナウンス等に気をつけて下さい.
教科書として以下のものを用います.
「情報技術のための離散系数学入門」
尾関和彦著
共立出版
3400 円
ISBN 4-320-01775-7
参考書として以下を挙げます. 講義で直接には使用しないので, 購入の必要はありません. 理解を深めたいとき, 更に進んだ内容を勉強したいときの参考にしてください.
「離散数学」
惠羅博,小川健次郎,土屋守正,松井泰子共著
横浜図書
1,785 円
ISBN 978-4-946552-16-8 (4-946552-16-2)「離散数学 -- コンピュータ・サイエンスのための基礎数学 --」
リプシュッツ著 成嶋弘監訳
マグロウヒル演習シリーズ, マグロウヒル社
2,700円
ISBN 4-274-13005-3
【例が豊富です】
授業毎に最後の15分を使って, その日の講義内容の理解度を確認するための 「振り返り問題(授業終了時に提出)」 を解いてもらいます(この提出をもって出席とします).
また,復習として解いてもらいたい 「挑戦問題」 を講義中に提示します.解答した人は,次回の授業開始時に A4サイズで回答を提出してください. 挑戦問題は次回授業のはじめに解説します. 挑戦問題の解答提出は任意ですが,提出状況・解答の出来は成績に反映させます.
振り返り問題と挑戦問題を使いながら,理解を深めるようにしてください.
順次,回答を掲載していきます.復習に活用するようにしてください.
期末に行なう試験の結果を重視します.期末試験の受験は,中間試験を受けていることを前提にします.
その他,挑戦問題の回答状況,出席状況なども考慮して評価します.
月曜日5限.質問等があるときは事前にメールでアポイ ントメントを取ってから研究室を訪問するようにしてください.
この講義で扱う内容は,論理的な思考に必要となる基本的な道具です.予習・復習をしっかりと行なうようにしてください.